外科医のストレス軽減になるって本当?

内視鏡手術ロボット、愛知の藤田保健大が導入…14日初執刀

(2009年1月9日08時15分 読売新聞)

藤田保健衛生大病院に導入された内視鏡手術ロボット。3本のアームの先に手術器具などを取り付けて手術する。

*外科医者だと人件費も高いし、文句も言いやがるから、ロボットにしてしまえ、という某省庁のほくそえんだ顔が浮かんでしまうのは私だけでしょうか。

 遠隔操作で内視鏡手術をする最新のロボットが、日本で初めて藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)に導入され、胃がん手術が14日に行われることになった。

 薬事法で未承認のため、同病院では、同意を得た胃がん、食道がん患者に対し、15例までは病院負担で実施する方針。ロボット導入により、傷跡が目立たず、回復が早い「腹腔(ふくくう)鏡手術」の精度をより高める効果が期待できるという。

*「腹腔(ふくくう)鏡手術」の精度をより高める効果が期待できる、とありますが、一体腹腔鏡手術手技中のどのパートの精度を高めることができるのでしょうか。私は熟練した外科医の方が手術手技すべてのパートにおいて優れていると思いますが・・・。しかも、例えば予期せぬ動脈損傷などを瞬時に止血できるのは、やはり人の手ではないかと思いますよ。

 腹腔鏡手術は、腹部に開けた穴からカメラを入れ、モニター画面を見ながら、医師が手術器具を操作して行われる。体内では器具の先端を自由に動かしにくく、高度な技術が求められていた。米国の「インチュイティブ・サージカル」社が新開発したロボットは、ロボット部と遠隔操作する運転室がセット。ロボットのアーム部分に装着された手術器具の先端部が自由に動き、医師は運転室の画像を見ながら、左右のハンドルで操作する。手術器具の先が細やかに動かせ、より細部の手術がしやすくなるという。購入費は約3億円。

*恐らく数年後にはこういったニュースは立ち枯れになっているでしょう。購入費は約3億円でも、メンテに年間莫大な金がかかるのでは意味がありません。

 国内では、薬事法承認前の医療機器の保険診療を一部認める「高度医療評価制度」が昨年スタートしており、同制度にも申請する。手術を担当する宇山一朗・同大医学部教授は、「日本のロボット手術分野は世界から取り残されている。外科医のストレス軽減のためにも大きな成果が得られるはずだ」と話している。

*外科医のストレス軽減のためにも大きな成果が得られるはずだ、とこの教授はおっしゃっていますが、果たしてそうでしょうか。私自身の経験から言わせて頂くと、モニターを見ながらロボットを操作するよりも、実際に手術に入って手を動かす方がはるかにストレスが少ないのではないかと思いますよ。外科医にとって、手術してる~、治してる~って、実感できる至福のひとときですから。ロボットのリモコンなんて何回かやれば飽きてしまうでしょうし、患者さんを機械としか見ないような医者を造ってしまう恐れだってあるわけです。

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