「大切」と「普通」では意味が違う

<死生観>がん患者「死後の世界」信じる割合低く 東大調査

1月14日11時18分配信 毎日新聞

 がん患者は一般の人に比べて、死後の世界や生まれ変わりなどを信じない傾向が強いことが、東京大の大規模調査で明らかになった。また「望ましい死」を迎えるために必要なこととして、がん患者が健康時と変わらない生活を望んだのに対し、医師や看護師がそれを期待する割合は低く、認識の差も浮き彫りになった。

 調査は、がん患者の死生観を知るため東京大の研究チームが昨年1月から1年間かけて実施。東大病院放射線科に受診歴がある患者312人と同病院の医師106人、看護師366人、無作為抽出した一般の東京都民353人の計1137人が協力した。患者は75%が治療済みで、治療中の人は20%だった。

 「死後の世界がある」と考える人の割合は一般人の34.6%に対しがん患者は27.9%、「生まれ変わりがある」は一般人29.7%、患者20.9%で、患者の割合が目立って低かった。がんが転移し治療が難しい患者ほど割合は低く、現実的な死生観を持っていた。

 生きる目的や使命感を持つ割合は患者の方が一般人より高く、「自分の死をよく考える」という人も患者に多かった。

 「望ましい死」に関しては、患者の多くが健康な時と同様の生活を理想とし、「(死ぬまで)身の回りのことが自分でできる」(93%)「意識がはっきりしている」(98%)「物が食べられる」(95%)--などを望んだ。一方、医療関係者はこれらについての期待がそれぞれ30~40ポイント低かった。

 調査をした中川恵一・東京大准教授(放射線科)は「がん患者は死と正面から向き合っているようだ。望ましい死に対する認識の差は、医師らが終末期の現実を知っているのに対し、患者は死の経験がないため生じるのだろう。生きている時間を大切に過ごしたいという患者の思いに応える医療が必要だ」と話す。【永山悦子】

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「生きている時間を大切に過ごしたいという患者の思いに応える医療が必要だ」と、この准教授は締め括っておりますが、第5パラグラフに、 「望ましい死」に関しては、患者の多くが健康な時と同様の生活を理想、と答えているのですから、「生きている時間を大切に過ごしたい」ではなく、「健康な時と同様の生活」、つまり「普通」の生活をしながら最期を向かえたいというのが癌患者の思い(理想)ではないでしょうか。

せっかく比較的規模の大きい調査をして、しかもタブロイド紙に掲載されたのですから、「大切」と「普通」の使い分けぐらいはしっかりして欲しいものです。

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