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■院長の役に立つ話  〜シュレーディンガーの猫〜 一覧へ戻る
量子力学は原子よりも小さい領域の物理現象を取り扱う学問。その領域において最も有名なのが2重スリット実験。この実験結果がとてつもなく面白い。量子論において有名な研究者だけでなく、物理学者たちを今以って悩ませている不可思議な現象だ。検出器(観察者)が作動しなければ、光子は波動関数に従って振る舞い、検出器(観察者)が作動すれば、光子はひとつの粒子として振る舞うという物理現象。このような特性の変動がなぜ起きるのかいまだに謎に包まれている(現在最も有力な説がPilot Wave Theory)。
1.2重スリット実験:観察者の振る舞いが量子の状態を決定する
2.2重スリット実験:英語版(観察すると波から粒子へtransformするのは何故か!)

上の動画の解説をよく聞くと、大よそのことは理解できる。

検出器を設置しない場合、すなわち量子(光子や電子など)の振る舞いを観察しなければ、量子は背後に置いた壁にinterference pattern(干渉波)を示す模様を生じる。

つまり、量子は波として振る舞っていることが分かる。

何故、粒子であるはずの量子が波のように振る舞うのか?

物理学者はこの物理現象を次のように説明する。

スリットを通過する直前に、量子は2つに分かれて両方のスリットを通過すると考えるとつじつまを合わせることができる。我々の時空間ではあり得ないが、実際に量子が同時に2つのスリットを通過してくれなければ干渉波はできない。

一方、検出器を置いて、量子の挙動を観察すると、干渉波は消失し、背後の壁には2本の模様しか見られなくなる。

つまり、量子は一つの粒子として振る舞っていることが分かる。

何故、人が観察すると量子は波としてではなく粒子として振る舞うのか?

人が観察しようとする意識が物理現象に影響を与えるということは、従来の物理学では考えられないことだ。

しかも、波として振る舞っていた量子は、電子銃から発射される瞬間、すなわち過去にさかのぼって、粒子へと変貌(transform)する。「現在が過去へ影響する」という我々のオツムでは理解できない画期的なことが起きているのだ。

近年の研究によって、時間、空間、エネルギー、物質を超越する、この時空間とは全く異なる領域が存在することが分かってきた。

これはとてつもなくmarvelousな大発見だ。

 

3.シュレーディンガーの猫というトンチの効いた解釈

コペンハーゲン解釈というある量子力学的解釈の方法がある。

ウィキペディアを読むとこうある。

量子力学の状態は、いくつかの異なる状態の重ね合わせで表現される。このことを、どちらの状態であるとも言及できないと解釈し、観測すると観測値に対応する状態に変化する(波束の収縮が起こる)と解釈する。

大変分かりにくいが、これをコペンハーゲン解釈という。「どちらの状態であるとも言及できない」という解釈。

難しい単語が並んでいるが、下に書いてあることも、これと同じことを説明している。

コペンハーゲン解釈では、量子が観測後に広がりを失ったように見える現象を波動関数の収縮(波束の収束)と呼ぶが、収縮がいつどのようにして起きるのかを説明することはできない。つまり、収縮が観測によって引き起こされたとは断定できないし、また観測が必須とも断定できない。ただ確実に言えることは、観測すると波動関数の収縮に相当する現象が確認できることだけである。いつどのようにして起きるのか分からない以上、収縮に必要な条件を理論的に予測することもできないので、現段階の科学の枠組みではこれ以上、波動関数の収縮について言及することはできない。そのため、シュレーディンガーの猫の思考実験が示すような未解決の問題を抱えることになる。

要するに、「見る」「観察する」ということはめちゃくちゃ重要なのだけれど、これをきちんと説明できる理論がいまだ存在しないのだ。

難しい箇所を分かりやすく説明しておこう。

波動関数の収縮(波束の収束)とは、波が(観察することによって)粒子に変化すること。2重スリット実験を思い出してほしい。

収縮がいつどのようにして起きるのか分からないと書いてある。だから、シュレーディンガーの猫の思考実験が未解決の問題を抱えているんだと。

要するに、よく分かっておらず、しかも我々の常識が全く通用しない世界であるということなのだ。

重ね合わせについて、このサイトが分かりやすく説明してくれている。