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■院長の役に立つ話  〜新型コロナウイルスの謎2〜 一覧へ戻る

大変参考になる記事を見つけたので紹介しておこう。

感染力も毒性も突然変異する新型コロナ「強毒種は270倍のウイルス量」中国の研究

要点を抜粋する。

◆新型コロナウイルスは突然変異を繰り返し、最強種は最弱種の270倍のウイルス量を生み出すことが分かっている。

◆欧州や米ニューヨークでは深刻な被害が広がっているのに対し、日本や米国の他の州で被害が比較的拡大していないのは突然変異による感染力や毒性の差が深くかかわっている可能性がある。

◆新型コロナウイルスをサル由来のベロ細胞に感染させ分析した結果、33を超える突然変異を確認、突然変異により病原性が大きく変化し、強毒性の種が生まれることが実験で確認された。

◆新型コロナウイルスの基本再生産数(患者1人から感染する人数)は1.4~6.5で平均値は3.3。

*ちなみに我が国の現在の基本再生産数(R0)は、R0≒0.7~0.5であり、この傾向が続けば、理論上は自然収束することになる。

◆これだけ突然変異を繰り返し、病原性まで変えるとなるとどの新型コロナウイルスにも通用するワクチンや治療法を開発するのは極めて難しい。

◆地域によって流行する新型コロナウイルスの種が異なることが報告され、地域によって被害に大きな差があるのはウイルスの突然変異が原因ではないかという見方が強まってきた。

◆ワシントン州など米国の一部で見つかった種の毒性はマイルドなのに対し、浙江省やヨーロッパのほとんどの患者から最も致死性の高い突然変異種が見つかった。

◆今後、新型コロナウイルスがどのように突然変異を繰り返し、どの地域でどんな種が流行するのか予測不能。

◆公衆衛生的介入を強化すれば感染を制御できるが、経済的損失と社会的コストは増大する。

◆英インペリアル・カレッジ・ロンドンのニール・ファーガソン教授が出口戦略について言及。「都市封鎖をいつまでも続けるわけにはいかない。検査地域のローラー作戦で感染者をあぶり出し、ある程度の社会的距離を保ちながら経済を再開する道を模索しなければならない。」

◆とにかく検査能力を上げ現状を正確に把握する必要がある。

--(以上、引用)

上の記事において重要と思われる箇所は次の部分。

#1.日本や米国の他の州で被害が比較的拡大していないのは突然変異による感染力や毒性の差が深くかかわっている可能性がある。

#2.地域によって被害に大きな差があるのはウイルスの突然変異が原因ではないかという見方が強まってきた。

#3.ワシントン州など米国の一部で見つかった種の毒性はマイルドなのに対し、浙江省やヨーロッパの患者からは最も致死性の高い突然変異種が見つかった。

解説と考察:

◇つまり、我が国およびアジア諸国におけるウイルス感染による死亡者数が今のところ低く抑えられているのは、流行しているウイルス変異株が弱毒性であるためという可能性があるということ。もちろん、BCG説など他の説もいくつか存在する。

◇我が国において、今後流行・拡大しうるウイルスは強毒性株(ヨーロッパ型)の可能性があり、引き続き厳重な警戒が必要だと考えている専門家もいる。

◇とにかく検査能力を上げて、現状を正確に把握する必要があるというのは1つの考え方だが、それによって死亡者数の抑え込みや医療崩壊の回避は可能となるのだろうか。

◇現状を見てみると、流行は収束しつつあるように見える(R0<1)。弱毒であれ強毒であれ収束してしまえば、SARSやMERSのように、もはや話題にも上がらないようになるのだろう。早くそうなって欲しいと切に願う。