頸椎症性脊髄症

今日は、日頃良く見かける疾患(整形外科編)について、分かりやすく解説しましょう。頸椎症性脊髄症(けいついしょうせいせきずいしょう)を参考にしながら記事を進めていきたいと思います。いい事書いてあるのですが、医家向けのようですので、一般の方々にはかなり難しいと思います。私もこの疾患で数年前に手術を受けました。私の経験を踏まえて分かりやすく解説していきたいとおもいます。

病因として椎間板の変性、椎間関節の変性云々とありますが、私の場合は頚部の脊柱管狭窄があり、これに椎間板の変性(主に過働による)が加わり、発症したものと思われます。

図1に示されるように、変形した椎間板の後方への突出と椎体隅角部での骨棘形成(過働及び加齢が原因)が前方からの脊柱管を圧迫する。
テスト
特に第5頚椎と第6頚椎の間に著明な脊柱管の狭窄を認める。

自覚症状ですが、私の場合は、腕立て伏せをしていた時、突然両手の尺側(小指側)にかけて、激しいしびれを伴う灼熱痛を自覚して発症しました。痛みはすぐに治まりましたが、、その後しばらくしてから左手人差し指と中指が常時しびれるようになりました。しかし、同指2本にしびれはありましたが、さほど気にせず過ごしておりました。しかし病状は徐々に悪化していったのです。数年後、後屈(例えば、床屋で洗髪するときにとる後ろにのけぞるような姿勢)をすると、両手尺側(小指側)に電撃痛が常時走るようになりました。ある事を機会に症状は急激に悪化し、引用サイトにもあるように、脱力感、手指の使いにくさ(ボタンがかけにくい、字を書きにくいなど:巧緻運動障害という)、朝左腕全体にしびれを感じて眼が覚める、肩関節及び肘の位置が気になる、全身いたるところがピクピク痙攣するようになりました。最後には歩行障害(姿勢を維持できず100mも歩けない)を来たし手術となりました。この間約5年。

私が受けた手術は、頸椎椎弓形成術(図2)でした。頸椎前方除圧固定術(図3)の場合、2椎体間狭窄のみの症例が良い適応であるのに対して、頸椎椎弓形成術では多椎体間で狭窄を認める場合に適応となります(例えば、図1)。

テスト2
頸椎椎弓形成術後MRI画像。白く光るのはスペイサーと呼ばれるチタン(金属)です。
テスト3
頸椎前方除圧固定術後MRI画像。狭窄部が除かれているのが分かります。

多発性硬化症、パーキンソン病、運動ニューロン疾患、脳障害、脊髄サルコイドーシスなどの難治性神経内科的疾患と症状が似ている場合があるため、上に挙げたような症状をお持ちの方は、たとえ軽症であっても、近くの信頼できるかかりつけ医を受診されるようお勧めします。最初から大病院を受診する必要はありません。私自身の経験から、診断がついても手術をしたがらずに、保存的治療を勧める日本脊椎脊髄病学会指導医を何人も知っております。私の場合は、頚椎MRIで極度の狭窄、巧緻障害や歩行障害がありましたので、年齢を考慮すると即手術となって当然のケースだったのです。

術後経過は比較的良好、80%ほど回復し、日常生活に支障は全くありません。

まとめます。

項部(うなじ)痛、前胸部の不快感、頭痛、眩暈、手指末梢のしびれや痛み(就寝後、或いは後屈で悪化)、筋力低下、歩行障害のいずれかの症状がある場合は、頸椎症性脊髄症、或いは頚椎椎間板ヘルニア、軽症例では頸椎症性神経根症、あるいは難治性神経内科的疾患の可能性があります。

まずは、受診を。

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