救急車を呼ぶべき症状

若手医師が老親のために書いた 救急車を呼ぶべき症状

日刊ゲンダイ2月25日(金)10時0分

「へたに救急車を呼んで何でもなかったら、みっともないし恥ずかしい。明日まで様子を見るか」

「でも、一秒を争う重病かもしれないし……」

 イザというとき、救急車を呼ぶかどうかで迷う人は多い。

 そんな時の参考になる本が「いつすべきか? 119番」(ワイズアップ)だ。昨年末まで九州の救命救急センターに勤務していた30代の若手医師が、田舎に住む老親の不安を和らげるために書いたもので、「救急車を呼ぶべき58症状」についてのメモをまとめた。

 その中から都会に住む中高年に参考になりそうな4症状を、著者の河崎一生医師に聞いた。

●頭が痛い

「“金属バットで殴られたような、今まで経験したことがない痛み”で、“何時何分に激痛が起きた”と痛みの始まりがハッキリわかるようなときは危険です。脳の動脈の一部がこぶ状に膨らんだ脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血の可能性があります。すぐ救急車を呼ぶべきです」

 脳動脈瘤が破裂した場合は、一般的に3分の1が死亡し、3分の1に重篤な後遺症があるといわれている。

「それで助かっても一度破裂した脳動脈瘤は、24時間以内(特に最初の6時間以内)に同じ場所が再破裂する可能性が高い。がまんしてはいけません」

 痛みの程度ががまんできないほどひどくなくても、「片方の手足がしびれる」「歯を“イー”としたら片方の顔が曲がる」「しゃべりにくい」などの症状が加われば、脳出血や脳梗塞の可能性がある。

●背中が痛い

「背中や腰などの痛みが、徐々に上や下に移動してきたときは、急性大動脈解離の疑いがあります。すぐ救急車です。この病気は心臓から血液を送るための大動脈が、何らかの原因で裂けてしまう病気で、放っておくと、その裂けた部分がどんどん移動して心臓まで到達して、心停止を起こします」

 お年寄りは普段から、腰痛をもっていることも多い。いつもと違って痛みの移動を訴えていないか、冷や汗が出ていないかなど、よく観察することだ。

●足が痛い

 突然、足の痛みを訴え、足が冷たくなって、次第に足の爪や足先が青白くなったら、足の血管が突然詰まる急性動脈閉塞症の疑いがある。これも救急車だ。

「放っておくと足が壊死(えし)して切断を余儀なくされることもあります。突然の痛みのあとに、足が冷たく蒼白となったり、さらに感覚が鈍くなったりする場合は、すぐに病院に行きましょう。血行再建術という手術が可能な時間(ゴールデンタイム)は6〜8時間以内といわれています」

●胸が痛い

“象が胸に乗っているような圧迫された痛み”“胸をギュッとつかまれたような痛み”が急性心筋梗塞や狭心症の症状として有名だが、他にも痛みが胸から左肩やあごなどに向かうケースがある。

こうした症状の後に心停止(心室細動)が起こります。心室細動はAED(自動体外式除細動器)という機械を使えば、早期に自己心拍が回復する可能性はありますが、この機械を使っても退院に至る救命の可能性は1分遅れるごとに約10%ずつ低下するという報告もあります。一刻も早く救急車を呼ぶべきです」

 自分はもちろん、周りの大切な人のためにも、“救急車を呼ぶべきとき”は知っておいた方がいい。

(日刊ゲンダイ2011年2月22日掲載)

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救急疾患に関する基本的な知識として是非覚えておきたい。

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