転移性肝腫瘍

以下は東成区医師会HPから引用しました。

近年のこの国の臓器別癌死亡率の経時的変化を表したグラフです。

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胃癌による死亡は減少傾向ですが、他臓器癌、特に肺癌の死亡率が極端に伸びているのが良く分かります。この増加が喫煙単独によるものなのかどうかは、さらに検証が必要と思われます。食品偽装などもかなり影響しているのではないかと思いますが、責任省庁が手許にあるデータを公表することは恐らくないでしょう。  

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胃癌による死亡率は女性もやや減少傾向にあります。特筆すべきは大腸癌による死亡率が第1位になったことです。男性でも上昇傾向にありますので、定期的に胸部レントゲン(できれば肺CT)や便潜血検査(できれば大腸内視鏡検査)をお受けになることをお勧め致します。

以下の症例は、当院で経験した大腸癌患者の中で、肝転移を有した大腸癌患者3例です。いずれの患者さんも診断が確定した時点で、自覚症状は比較的軽微、腹部超音波検査で発見に至ったケースばかりです。

症例1上行結腸癌肝転移症例
80代の男性。2008年6月に施行した便潜血検査で陽性の結果を得たが、自覚症状ないため、大腸内視鏡検査を希望しなかった。同年8月便潜血再検にても陽性。同年11月顔色不良のため、血液検査および腹部エコー検査施行。CEA:76.7、AFP:2.4。腹部エコー所見:肝右葉前上区域に中心に壊死を伴う76.4x53.6mmの腫瘍を認めた。

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症例2横行結腸癌肝転移症例
60代の女性。便秘及び他疾患のため他院通院していたが、1999年10月上腹部に痛みを覚えて当院受診。初診時、顔色不良、便秘、上腹部の圧痛を認めたため大腸癌を疑い、精査施行。CEA:196.7、AFP:10.1、そして腹部超音波検査にて横行結腸に腫瘤影、肝左葉内側下区域に直径約4cmの転移性肝腫瘍を認めた。 
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症例3直腸癌肝転移症例
70代の男性。2000年5月転居のため当院転院。高血圧症、心房細動、COPDなど複数疾患を有していたため、初診時精査を施行した。腹部超音波検査にて、肝全体に大小さまざまな大きさを有する転移性腫瘤を認め、直腸指診にて、肛門縁より約7cmの部位に直腸癌を触知した。CEA:51.3.AFP:2.9。
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AFP正常域:10以下、CEA正常域:2.5以下(当時、現在は5以下です)

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